1. 基本情報
今回ご紹介するのは、1945年に公開された歴史劇の傑作『Caesar and Cleopatra』です。この映画は、かの有名なジュリアス・シーザーと、若き日のクレオパトラの出会いを描いた作品で、ジョージ・バーナード・ショーによる戯曲を原作としています。
| 作品名 | Caesar and Cleopatra |
|---|---|
| 公開年 | 1945年 |
| ジャンル | ドラマ、歴史、コメディ |
| 評価 | 6.2/10.0 |
| 監督 | ゲイブリエル・パスカル |
| 主演 | クロード・レインズ、ヴィヴィアン・リー |
「コメディ」とありますが、これは当時の歴史劇における軽妙な会話劇や風刺的な要素を指しているようで、現代的なドタバタコメディというわけではありません。豪華絢爛なセットと衣装で、古代エジプトとローマの対立が描かれています。
2. あらすじ
時は紀元前48年。ローマの権力者ジュリアス・シーザーは、政敵ポンペイウスを追ってエジプトに上陸します。そこで彼が出会ったのが、わずか16歳の少女、クレオパトラ7世でした。
クレオパトラは、弟プトレマイオス13世との王位継承争いの渦中にあり、権力も経験も持たない、ただのわがままな少女に過ぎませんでした。シーザーは、彼女の未熟さを見抜くも、その内に秘めた大胆さと知性に惹かれ、彼女を真の女王へと育て上げようとします。
エジプトの宮廷は陰謀と裏切りが渦巻いており、シーザーはクレオパトラを指導しながら、自らも彼女を女王の座に就かせるための軍事・政治的な戦いに巻き込まれていきます。この物語は、単なるロマンスではなく、ローマの征服者とエジプトの最後の女王が、いかにして互いの運命、そして歴史を動かしたのかを描く、壮大な師弟関係の物語です。
後にローマ側から「危険な、異国的な誘惑者」とまで呼ばれることになるクレオパトラですが(参照:National Geographic)、この映画では、彼女がまだ未成熟な段階から、いかにしてその魅力を磨き、世界を股にかける権力者へと変貌していったのかが描かれています。

3. 映画レビュー
この作品の最大の魅力は、なんといってもヴィヴィアン・リーが演じる若きクレオパトラの輝きです。彼女の美しさやカリスマ性は言うまでもありませんが、この映画では、まだ子供っぽさが残る、しかし恐れを知らないクレオパトラを見事に表現しています。
クロード・レインズが演じるシーザーも素晴らしいです。彼は「老いた」ローマの権力者として描かれますが、その知性と冷徹な判断力は圧倒的。彼はクレオパトラに知識と戦略を教え込みますが、それは彼女の魅力を利用するためではなく、真の指導者として成長させようとする、ある種の教育的な愛にも似た関係性に見えます。
当時のローマでは、シーザーのような偉大な人物でさえ、権力と個人の野望の狭間で揺れ動きます。この点は、以前紹介した政治ドラマ『The Conquest』にも通じるテーマだと感じました。権力を握る者がいかに孤独で、いかに戦略的でなければならないか。古代の物語でありながら、現代のリーダーシップ論にも通じる深さがあります。
また、1945年という時代にこれほど豪華でスケールの大きなセットを作れたことに驚かされます。特に、エジプトの宮殿のシーンや、砂漠の広大さを感じさせる美術は圧巻です。少し古い映画なので、現代のCGに慣れていると演出に物足りなさを感じるかもしれませんが、歴史映画好きなら、このクラシカルな重厚感はたまらないはず。
クレオパトラは、その美貌よりも「ジュリアス・シーザーの情熱をかき乱す能力」で知られていたと歴史家は指摘していますが(参照:National Geographic)、この映画は、彼女がいかにしてその「情熱をかき乱す力」を身につけていったのか、その原点を見せてくれます。
歴史に名を残す二人の人物が、まだ誰も知らない密室で、どのように出会い、影響を与え合ったのか。権力、野望、そして時代を超えた人間ドラマに興味がある方に、ぜひおすすめしたい一本です!


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