1. 基本情報
- 公開年: 2022年
- 評価: 5.2 / 10
- ジャンル: TV Movie, Thriller, Crime
- 出演: カミーユ・カルドーニ、マッケンナ・ブルックス ほか
2. あらすじ
主人公のジュリーは、母親がウィルソン高校の副校長という大役に就いたことで、長年親しんだ学校やチア部を離れ、転校することになります。転校先のウィルソン高校は、運動能力に秀でた生徒が集まる、いわゆる「マグネット・スクール」。設備も資金も潤沢な理想的な環境に見えましたが、そこは実力至上主義が支配する場所でした。ジュリーは新しいチアチームに参加しますが、やがてチームの周囲で不可解で危険な出来事が起こり始めます。華やかなユニフォームの裏側に隠された、恐ろしい真実とは……。

3. 映画レビュー
週末の夜、ちょっとした緊張感を味わいたい時にぴったりなのが、この『Deadly Cheers』のようなハイスクール・スリラーです。私、こういう「一見キラキラした女子たちのドロドロした争い」が大好物なんですよね。本作も期待を裏切らない「危うさ」が詰まっていました。
まず、主人公のジュリーが置かれた状況がなかなかシビア。お母さんが副校長として同じ学校にいるっていうだけで気まずいのに、そこが超体育会系のエリート校。チアの世界って、外から見れば笑顔で元気いっぱいですが、内側はポジション争いや嫉妬が渦巻く戦場。その描き方がリアルで、観ていてヒリヒリします。以前紹介した『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』のような爽やかな青春物語とは正反対のベクトルですが、どちらも「学校という閉鎖空間」特有の熱量があるのは共通していますね。
ストーリーが進むにつれて、単なる女子同士のいざこざでは済まない、犯罪の香りが漂ってくる展開には引き込まれました。正義感と恐怖の間で揺れるジュリーの姿は、観ているこちらまで「もし私だったら……」と考えてしまいます。追い詰められた人間が下す決断の重さは、『Tortured』で描かれたような極限の選択にも通じるものがあります。
特に印象的だったのは、ジュリーの母親が学校の管理職であるという設定が、物語に絶妙な緊張感を与えている点です。普通なら守ってくれるはずの存在が、学校の評判や自身のキャリアを守るために、無意識のうちに子供の声を封じ込めてしまうかもしれない……という親子間のすれ違いが、サスペンスとしての深みを増していました。家族の絆が試されるという意味では、『Seetharama Raju』で見られたような熱い情愛とはまた違う、現代的な冷ややかさを感じさせます。
また、本作の面白さは「狂気」の描き方にもあります。友情がいつの間にか歪んだ執着に変わっていく様は、『The Follies』を彷彿とさせ、背筋が少し寒くなるような感覚を味わえました。ウィルソン高校という舞台設定も、スポーツに特化した学校というだけで、普通の高校よりも競争が激しく、成功への執着が異常なまでに高まっている様子が伝わってきます。そんな環境下で、ジュリーが直面する恐怖は単なる個人の悪意ではなく、システムが生み出した歪みのようにさえ感じられました。こういう社会の縮図のような描き方は、『未来世紀ブラジル』にも通じる、逃げ場のない不安を煽ってきます。
総じて、本作は「王道のスリラー」を現代のハイスクール文化に落とし込んだ佳作と言えるでしょう。派手なアクションがあるわけではありませんが、心理的な駆け引きや、徐々に足元が崩れていくような恐怖を味わいたい夜には、この映画が最高のスパイスになってくれるはずです。評価としては5.2と控えめですが、このジャンルが好きな人にとっては、安定の面白さを提供してくれる一作だと思います。何も考えずに物語の波に身を任せ、最後に「あぁ、怖かった!」とスッキリしたい方におすすめです。


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