1. 基本情報
公開年:2021年
評価:6.2
ジャンル:サイエンス・フィクション、スリラー、ドラマ
今回ご紹介するのは、ちょっと変わった設定のSF映画『Lapsis(ラプシス)』です。派手な宇宙船やエイリアンが出てくるわけではありませんが、私たちの日常の延長線上にあるような「不気味なリアリティ」が詰まった作品です。
2. あらすじ
舞台は、私たちが生きる現代とよく似たパラレルワールド。そこでは「量子コンピューティング」が急速に普及し、山の中に巨大なケーブルを張り巡らせる必要があります。主人公のレイは、病気の弟の治療費を稼ぐため、この「ケーブル敷設」という奇妙なギグワークを始めることにしました。
仕事の内容はシンプル。森の中にケーブルを引き、各チェックポイントを繋いでいくだけ。しかし、そこには「メダル」を競い合う労働者たちの過酷な競争と、人間を追い越そうとする自動敷設ロボットの影がありました。レイは次第に、この巨大なシステムの裏側に隠された真実に巻き込まれていきます。

3. 映画レビュー
この映画を観て真っ先に感じたのは、「これって今の私たちの働き方そのものじゃない?」というゾワゾワした感覚です。UberやAmazonの配達員、あるいはポイ活のように、スマホの通知に踊らされて「効率」を追い求める今の社会への強烈な皮肉が込められています。
低予算映画ながら、森の中という限定的なシチュエーションを活かした演出が見事です。労働者が背負うケーブルの束や、カチャカチャと音を立てて迫ってくる小さなロボットの不気味さ。特に、以前紹介した『未来世紀ブラジル』のような、システムに飲み込まれていく人間の滑稽さと悲哀を感じました。
クチコミでも「設定が独創的」「現代のギグエコノミーに対する鋭い風刺」といった声が多く、単なるSFというよりは社会派ドラマとしての側面が強いです。主人公のレイが、最初はただお金のために働いていたのが、次第に労働者同士の連帯やシステムへの疑問を抱くようになる過程は、『Nightcrawler(ナイトクローラー)』で見せたような、仕事に憑りつかれる人間の狂気とはまた違う、静かな抵抗を感じさせてくれます。
「自由な働き方」という言葉の裏にある不自由さ、そして私たちが何のために働いているのか。そんなことを考えさせてくれる一作です。派手なアクションはありませんが、じわじわとくる不気味な世界観を楽しみたい方にぜひおすすめです。
他にも、少し不思議な世界観を描いた作品として『Cora』などもチェックしてみてくださいね。


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