基本情報
公開年: 1989年
ジャンル: ドラマ, ロマンス
監督: テッド・コッチェフ
出演: カート・ラッセル, ケリー・マクギリス
あらすじ
1934年、世界恐慌の爪痕が残るノースカロライナ州の山深い村。妻を亡くした時計職人のウェイランド・ジャクソンは、幼い娘を連れてこの地に流れ着きます。彼は、村で未婚の母として生きるコリー・ライトに助けられ、彼女の家に身を寄せることになります。閉鎖的な村の人々の冷たい視線にさらされながらも、ウェイランドの誠実な人柄とコリーの強さに惹かれ合い、二人は次第に心を通わせていきます。しかし、厳しい冬の訪れとともに、彼らの愛は村の因習や過酷な自然という大きな試練に直面することになるのでした。

映画レビュー
冬って、なんだか人恋しくなりませんか?冷たい空気の中で、温かいコーヒーを飲みながら、心温まる映画が観たくなる季節。今回紹介する『Winter People』は、まさにそんな凍える心にそっと寄り添ってくれるような、静かで美しい愛の物語です。
舞台は1930年代のアメリカの山村。まず、映像から伝わる冬の厳しさと美しさに引き込まれました。一面の銀世界は息をのむほど綺麗なのに、そこでの生活は想像を絶するほど過酷。そんな厳しい環境だからこそ、人と人との繋がりや温もりが際立って見えるんです。
主人公は、若き日のカート・ラッセル演じる心優しい時計職人ウェイランドと、『トップガン』のヒロイン役でも知られるケリー・マクギリス演じる芯の強い女性コリー。それぞれが過去の傷や孤独を抱えながらも、不器用にお互いを支え合い、ゆっくりと愛を育んでいく姿がとても丁寧に描かれています。派手な展開はないけれど、二人の視線の交わし方や、さりげない優しさに、観ているこちらの胸がキュッと締め付けられました。
この映画で描かれる愛は、ただの恋愛だけではありません。ウェイランドの娘への愛情、コリーの息子への愛情、そして閉鎖的ながらも根底にある共同体の絆。様々な形の「愛」が、厳しい冬を乗り越えるための力になっていく様子は、観終わった後にじんわりと心を温めてくれます。困難な状況の中で育まれる愛の形は、時代や背景が違っても心に響くものがありますよね。そういえば、以前紹介した『Sonny Boy』も、様々な壁を乗り越える愛を描いた作品で、通じるものがあるかもしれません。
少し昔の映画なので、今の作品に比べると展開はゆったりしているかもしれません。でも、だからこそ登場人物の心の機微をじっくりと味わうことができます。寒い冬の夜、温かい飲み物をお供に、静かに心に染みる物語に触れてみてはいかがでしょうか。きっと、見終わる頃には優しい気持ちになっているはずです。


コメント