『Year One』自分を見失ったとき、もう一人の自分が現れたら?

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1. 基本情報

今回ご紹介するのは、2024年公開の心理ドラマ『Year One』です。大学に入学したばかりの若者が経験する、アイデンティティの崩壊と別人格の出現を描いた、非常にセンシティブな作品です。

公開年 ジャンル 評価
2024年 ドラマ

(※評価は公開時期や配信状況により変動する場合があります)

2. あらすじ

主人公のルビーは、期待に胸を膨らませて大学生活(フレッシュマン・イヤー)をスタートさせます。しかし、新しい環境での人間関係や学業へのプレッシャー、そして予期せぬトラブルが重なり、彼女の心は急速に疲弊していきます。

精神的に追い詰められ、自己肯定感を失っていくルビー。そんな彼女の前に、ある日突然、鏡の中に「別人格」が現れます。それは、ルビーが理想とする、自信に満ち溢れ、社交的で魅力的な存在でした。

この華やかな「オルターエゴ(別人格)」は、ルビーが踏み出せない大胆な行動を取り、瞬く間に周囲の注目を集め、ルビーの人生を乗っ取ろうとします。ルビーは、自己を失う恐怖と、別人格が手に入れた輝かしい生活への抗いがたい羨望の間で、深い精神的な転落(downward spiral)に陥っていくのです。

彼女は「私」の人生を取り戻せるのか、それとも別人格に飲み込まれてしまうのか。自己の境界線が曖昧になっていく極限状態が描かれます。

Year Oneのポスター画像

3. 映画レビュー

この『Year One』は、現代の若者が抱える「自分らしくあること」の難しさや、SNSなどで見せられる「理想の自分」とのギャップが生み出す心の闇を、鋭く描いた作品だと感じました。

私も20代後半になり、過去の自分を振り返ると、特にルビーと同じような「人生の最初の大きな一歩」を踏み出す時期は、本当にアイデンティティが揺らぎやすかったなと思います。この映画は、その脆い精神状態を、別人格という形で具現化することで、視覚的にも心理的にも強烈なインパクトを与えてきます。

誰もが共感する「理想の自分」との戦い

ルビーの「別人格」は、彼女が心の奥底で求めていた大胆さや華やかさを持っています。彼女が成功すればするほど、本来のルビーは影が薄くなり、絶望していく。この構造が本当に恐ろしいです。自分自身が作り出したはずの理想像に、現実の自分が食い潰されていく様子は、他人事とは思えませんでした。

特に、ルビーの現実のシーンはトーンが抑えられ、別人格のシーンはパーティーや鮮やかな色彩で満たされている対比が秀逸で、映像表現だけでもルビーの精神状態が手に取るように伝わってきました。

内面的な葛藤を描く作品として

この作品は、ホラー要素こそありませんが、精神的な恐怖という点では十分にスリラーです。内面と外面の葛藤、自己の再構築というテーマがとても深く描かれています。

「自分とは何か」という問いを突き詰めるという意味では、以前レビューした記憶を巡る幻想的な物語『Return from Nowhere』や、天才ハッカーのアイデンティティの物語『Who Am I』と共通する部分があります。特にこの『Year One』は、若者の「承認欲求」や「見栄」といった現代的なテーマが根底にあるため、より身近な問題として心に響きました。

人生の岐路に立ち、自分を見失いかけている人にこそ見てほしい一本です。観終わった後、きっと「本当の私」について深く考えさせられるはずです。

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