1. 基本情報
公開年:1971年
ジャンル:Drama, Romance(ドラマ、ロマンス)
監督:P. マダヴァン(P. Madhavan)
概要:1971年に公開されたタミル語の白黒映画。南インド映画界において、家族の絆と個人の信念を真正面から描いたヒューマンドラマの傑作として知られています。
[ポスター画像]
2. あらすじ
物語の舞台はインドの農村。主人公は、亡き両親に代わって一家を支えるため、自分の学業を諦めて農業に邁進する心優しい兄です。彼は弟を都会の大学へ進学させ、立派な教育を受けさせるために身を粉にして働きます。しかし、都会の生活に染まり、欲に目がくらんだ弟は、帰郷するなり兄の期待を裏切り、先祖代々の土地を分割して売却することを要求します。家族の絆が崩壊の危機に瀕する中、兄は土地と家族の誇りを守るために、ある重い「誓い(Sabadham)」を立てることになります。
3. 映画レビュー
1970年代のモノクロ映画ということで、最初は少し構えて観ていたのですが、気がつけばその圧倒的な熱量に引き込まれていました。今の時代にも通じる「家族の裏切り」や「都会と田舎の価値観の相違」がテーマになっていて、私のような20代の人間が観ても、胸に突き刺さるシーンが多かったです。
特に、自分の夢を犠牲にしてまで弟を支えた兄の献身が、無惨にも踏みにじられるシーンは本当に切ない。以前紹介した『Munnettam』でも感じましたが、インド映画が描く「運命と葛藤」の重みは、観る側の魂を揺さぶる力がありますね。
タイトルにもなっている『Sabadham(誓い)』が、物語の後半でいかに重要な意味を持ってくるのか。一人の男が誇りを守るために立ち上がる姿には、言葉を超えた感動がありました。家族愛と悲恋が絡み合う展開は、『Love Hurts』のような純粋ゆえの痛みを思い出させます。
また、社会の不条理の中で夢に破れ、それでも生きていく男の哀愁という点では、『Death of a Salesman』に通じる虚無感もありますが、本作にはインド映画らしい生命の力強さが宿っています。白黒の映像美が、かえって登場人物たちの感情を際立たせていて、非常に美しい作品でした。古い映画だと敬遠せずに、ぜひこの重厚な人間ドラマを体験してほしいです。


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