基本情報
公開年: 2025年
ジャンル: スリラー, ドラマ
評価: 6.7 (TMDb)
あらすじ
現代社会に幻滅し、すべてを捨てて新たな始まりを求めた人々。彼らがたどり着いたのは、文明から隔絶された手つかずの無人島だった。そこで彼らは自給自足の共同体を築き、完璧なユートピアを創り上げようとする。しかし、その夢のような生活は長くは続かなかった。閉ざされた環境の中で、人間の本性、嫉妬、不信感が徐々に露わになり、楽園は少しずつ崩壊していく。彼らは気づくことになる。最大の脅威は島の外にあるのではなく、自分たち自身の心の中にあるということを…。

映画レビュー
「何もない無人島で、理想の社会をゼロから作る」…なんて聞くと、なんだかワクワクする冒険物語を想像しますよね。僕も最初は、そんなポジティブな物語を期待していました。映画『Eden』は、まさにそんな夢から始まる物語です。
序盤は、都会の喧騒から離れ、美しい自然と共に生きる人々の姿が穏やかに描かれます。まさにその名の通り楽園(エデン)。でも、ジャンルはスリラー&ドラマ。この平穏がずっと続くわけがありません。
ルールも階級もないはずだった共同体に、やがて小さな亀裂が入り始めます。食料の分配、リーダーシップを巡る対立、そして男女間の愛憎…。閉鎖された空間でむき出しになる人間のエゴが、観ているこちらの心までザワザワさせてきます。「一体誰を信じればいいのか?」「誰が敵で、誰が味方なのか?」そのサスペンスフルな展開に、息を飲むこと間違いなしです。
この「理想郷だと思っていた場所が、実は恐ろしい場所だった」というテーマは、映画ファンならピンとくるかもしれません。そう、クローンたちの悲しい運命を描いた『アイランド』にも通じるものがあります。どちらの作品も、完璧に見える世界の裏に隠された真実が、物語の鍵を握っています。
『Eden』は、単なるサバイバルスリラーではありません。極限状態に置かれた人間の心理、社会の縮図、そして「本当の幸せとは何か?」を問いかけてくる、深みのある人間ドラマです。美しい島の風景と、そこで繰り広げられる醜い人間模様のコントラストが、強烈な印象を残します。人間ドラマや心理スリラーが好きな方には、ぜひチェックしてほしい一作です。


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