1. 基本情報
今回ご紹介するのは、ホラー映画史に残る実話ベースの物語『悪魔の棲む家』シリーズの中でも、特に強烈な印象を残す前日譚的作品『Amityville II: The Possession』です。オリジナル作品の凄惨な事件がなぜ起こったのか、その「始まりの恐怖」を描いています。
- タイトル: Amityville II: The Possession (邦題: 悪魔の棲む家2)
- 公開年: 1982年
- ジャンル: ホラー (Horror)
- 評価 (参考): 5.7/10.0
- 監督: ダミアーノ・ダミアーニ
この作品は、単なる続編ではなく、実際に起こったとされるデフェオ一家殺害事件をモチーフにしたフィクションとして、悪霊による憑依と家族崩壊の過程を徹底的に描いています。公開当時のホラー映画の中でも、その描写の残忍さ、特に家族間の暴力や近親相姦を示唆する描写は、非常にショッキングでした。
2. あらすじ
ニューヨーク州アミティビルの有名なオーシャン・アベニュー112番地に、モンテリ一家が引っ越してきます。父アンソニー、母ドロレス、そして4人の子供たち(長男ソニー、長女パトリシア、幼い弟妹)は、新生活に胸を膨らませていましたが、この家には想像を絶する悪意が潜んでいました。
引っ越し直後から、家は異様な気配に包まれ、ポルターガイスト現象が一家を襲います。特に長男ソニーは、悪霊に狙われ、徐々にその精神を蝕まれていきます。元々、父アンソニーは支配的で暴力的な人物でしたが、家の悪意はその家族内の不和を増幅させます。ソニーは悪霊に完全に憑依され、その狂気はついに、家族を巻き込んだ凄惨な殺戮へと発展してしまうのです。
事件後、ソニーは逮捕されますが、カトリック教会の神父が彼の無実を信じ、ソニーから悪魔を追い出すためのエクソシズム(悪魔払い)を試みます。しかし、家に取り憑いた悪魔の力は強大で、神父自身も命がけの戦いに巻き込まれていきます。

3. 映画レビュー:純粋な「悪意」が渦巻く、ショッキングな憑依ホラー
この映画は、ホラーファン、特に憑依ものが好きな人には絶対におすすめしたい一本です。オリジナルの『悪魔の棲む家』が「家」の恐怖を描いたとすれば、本作は「憑依」と「家族崩壊」に焦点を当てた、より生理的に不快で、残虐性の高い作品になっています。
私がこの作品を見て一番引き込まれたのは、悪魔が家族の愛や絆を、いかに醜く、ねじ曲げていくかという描写です。特に、ソニーが悪魔に支配されていく過程は圧巻。彼の苦悶と、悪魔が彼を通じて行う残忍な行為のコントラストが、観客に強烈な不快感と恐怖を与えます。家が悪意を増幅させる装置として機能し、元々持っていた家族内の問題を一気に爆発させてしまうのです。
映画に描かれる暴力や狂気は、フィクションとはいえ、人間の心の奥底にある闇を見せつけられるようでゾッとします。こうした人間の内に秘めた暴力性や狂信が引き起こす悲劇を描いた作品としては、以前ご紹介した『Red State』や、予測不能な殺意を描いた『Murder』にも通じる、救いのないテーマが根底にあります。
終盤のエクソシズムのシーンは、まさにこの映画のクライマックスであり、ホラー映画史に残る名シーンと言っていいでしょう。特殊メイクやエフェクトは時代を感じさせますが、その生々しい迫力は現代のホラーにも負けていません。悪魔と神父の壮絶な戦いは、純粋な恐怖と絶望を感じさせます。
この映画は、アミティビル事件の「なぜ」に、悪魔の憑依という形で一つの答えを出そうとしています。オリジナルよりもゴア描写が多く、より過激でダーティな雰囲気がありますが、その分、恐怖の濃度は非常に高いです。古き良き80年代ホラーの過激さを楽しみたい方、そして「悪魔の棲む家」の真の原点を深く知りたい方には、ぜひ見ていただきたい作品です。


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